| 少 | あー! おにいちゃん、ずーるぅーいーぃ!
|
| 葉 | あ? あ! ちょっとまてこら!
|
| 少 | 飴っ! ユリにも分けてー!(だだこね)
|
| 母 | 分けてやりなさい、葉。
|
| 葉 | でもだってかあさんー(ユリばっかり甘やかすなよーという呆れ)
|
| 男 | 葉、お兄ちゃんだろう?
|
| 葉 | 解ったよ……一個だけだぞ!? (ぶつぶつ)おばあちゃんにあげる飴だったのに
|
| 女 | ヒッ!
|
| 男 | (息を呑む音)
|
| 葉 | え?
|
|
| 葉 | 彼岸と此岸(シガン)、その狭間
|
| 花 | そこに囚われた少年と少女
|
|
| 花 | 赤い花が一杯……。
|
| 母 | マンジュシャゲっていうのよ。綺麗な赤ね。
|
| 花 | 本当に。綺麗な花。
|
| 母 | 少し摘んでいこうかしら。あらあら、ハナは摘まないで。摘まないで良いのよ。
|
| 花 | どうして?
|
|
母
| ……摘まないで良いのよ(諭すように)
|
| 母 | お母さんねえ、少し家に忘れ物をしてきたみたい。ハナはここで待っていてくれる? いい? お母さんがくるまで待っているのよ。
|
| 花 | うん……。早くね、早く。早く帰って来て。
|
| 母 | ……おかしな子ね、勿論よ。それじゃあ待っていてね。
|
| 花 | うん。
|
|
| 葉 | その邂逅は何をもたらすのか。
|
| 花 | 創作声劇「彼の岸の花」
|
| 葉 | そして、彼の岸に咲く花は何を想う。
|