序 幕
※『*〜』はシーン名



*朗読
 死人花だと
 人に呼ばれて
 地に根をはった

  一行ずつにある程度の間を持ってください。


*バック 選考時使った声


*メイン
 あー! おにいちゃん、ずーるぅーいーぃ!
 あ? あ! ちょっとまてこら!
 飴っ! ユリにも分けてー!(だだこね)
 分けてやりなさい、葉。
 でもだってかあさんー(ユリばっかり甘やかすなよーという呆れ)
 葉、お兄ちゃんだろう?
 解ったよ……一個だけだぞ!? (ぶつぶつ)おばあちゃんにあげる飴だったのに
 ヒッ!
 (息を呑む音)
 え?
 彼岸と此岸(シガン)、その狭間
 そこに囚われた少年と少女
 赤い花が一杯……。
 マンジュシャゲっていうのよ。綺麗な赤ね。
 本当に。綺麗な花。
 少し摘んでいこうかしら。あらあら、ハナは摘まないで。摘まないで良いのよ。
 どうして?
 ……摘まないで良いのよ(諭すように)
 お母さんねえ、少し家に忘れ物をしてきたみたい。ハナはここで待っていてくれる? いい? お母さんがくるまで待っているのよ。
 うん……。早くね、早く。早く帰って来て。
 ……おかしな子ね、勿論よ。それじゃあ待っていてね。
 うん。
 その邂逅は何をもたらすのか。
 創作声劇「彼の岸の花」
 そして、彼の岸に咲く花は何を想う。